建物明渡請求

建物明け渡し請求の事例

 依頼者は,Aさんにアパートの一部屋を貸しました。最初のうちは家賃をきちんと支払ってくれていましたが,1年ほど経過すると,理由はわかりませんが,家賃を支払ってくれなくなりました。
 依頼者は,不動産管理会社にこのことを相談しました。不動産管理会社は,現地を訪問しましたが,部屋にはAさんが居るのか居ないのかわからないような状況でした。不動産管理会社は,やむなく内容証明郵便で滞納賃料の督促をしてみたのですが,Aさんはこの内容証明を受け取りませんでした。

 そこで,私に相談が来ました。このような状況ですので早速受任し,建物明け渡しの訴訟を提起することにしました。ただ,この件では,訴状や口頭弁論期日の呼び出し状の送達ができないことが予想されましたので,先ずはAさんの所在確認を進めることにしました。
 現地を調査して,Aさんがこのアパートに住んでいることが確認できれば,たとえ訴状などの特別送達文書を受領しないとしても,付郵便送達手続きで強制的に送達させることが可能になります(働いている場所がわかれば就業場所に送達します)。Aさんがいわゆる行方不明となれば,公示送達の申立てをしなければなりません。

 このケースでは公示送達をせざるを得ませんでした。
 公示送達の場合は,訴訟の口頭弁論期日に被告が欠席しても,擬制自白(原告の言い分を自白したものとみなす)となりませんので立証が必要になります。そこで,通常の書証のほかに,依頼者の本人尋問を申し立てました。
 期日では,訴状を陳述し,依頼者の本人尋問を行い,そこで弁論が終結されました。後日に判決がなされましたので,判決の確定を待ち,執行文の付与を受け,そして建物明渡しの強制執行に着手しました。この強制執行申立ては地方裁判所の執行官に対して行います。

 強制執行は2回現地に赴きます。最初の期日は催告執行期日です。部屋の中に立ち入り,占有状況などを確認し,動産差し押さえができるものがあればこれを差し押さえます(実際には執行不能により中止されるケースがほとんどですし,最近は,申し立てたとしても意味がないので,動産執行の申立てすらしません)。催告執行期日には,いつもの執行業者さんに見積もりをお願いし,合鍵で玄関が開かない場合を想定して鍵屋さんを依頼し,立会人1名は不動産管理業者にお願いしました(立会人は執行官が連れてくることもあります)。
 1か月後の2回目の期日には明け渡しの断行期日となります。この日は執行業者さんが10人ほどの人員を用意し,いっせいに室内の動産類を搬出します。このケースでは,執行官から保管を命じられたものがありませんでしたので,すべて廃棄処分となりました。

 この日,執行官から依頼者に占有を移され,無事に明け渡しが完了しました。このケースは簡単に終わりましたが,実際にはリース物件などの処理,保管を命じられた場合の処理,入居者の属性が不良の場合の対応など,非常に困惑する場合も多いです。