交通物損事故の課題
 
 司法書士が取り扱う交通事故に関する事件は,ほぼ交通物損事故です。交通人身事故の場合は,損害額が大きいため司法書士の代理権を超えることが多く,弁護士さんに依頼されたほうが良い案件だからです。
 交通物損事故は,一般的に,
  ①事故態様
  ②過失割合
  ③損害金額
が問題になります。
 どのようにして事故が生じたのか(事故態様)は,紛争の入口ですが,最大の争点と言っても過言ではありません。どのように事故が発生したのかは,当事者にしかわからないことが多いのにもかかわらず,その当事者の言い分が異なるので難しいのです。
 事故態様については,現地の状況,事故車両の破損状況,物件事故報告書などを踏まえ,事故態様を明らかにしていくほかありません。
 過失割合については,ほぼ定型化されています。事故態様がおおむね明らかになれば,その事故態様ごとに定型化された過失割合を適用します。赤い本や青い本など,事故態様によって過失割合を一般化した資料などを用いて検討することになります。
 損害金額については,修理費用を中心に考えることになります。ここで問題になることは,車の価値です。もし全損であったとしても,新車に買い換える費用を請求することはできず,その事故発生時の車の時価額が損害金額の上限になります。従って,全損でない場合でも,修理代金が車の時価額を超えるような場合には,その時価額が損害金額の上限となります(経済的全損)。なお,この場合の車の時価額は,いわゆるレッドブックなどにより算出することになります。評価損についても問題になることがありますが,一般的には認められないのが実情でしょう。
 いままでの経験で感じることは,交通物損事故の場合,被害者の車に対する愛情やこだわりがそのまま結論に反映されないことがもっとも大きな不満の種のようです。
 事故に巻き込まれたのだから,愛車の価値が下がった分を評価損として賠償して欲しいとか,買って間もない自動車なのだから買い換えて欲しいなどの希望は,基本的には適いません。あくまでも自動車を無感情に物として評価し,目に見える修理代だけが賠償されると言うことです。
 いずれにしましても,残念ながら,交通事故に遭って納得する結論になることは稀で,少なからず当事者の諦めが紛争の解決を導くものと言えるでしょう。 

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